熱
―しくじった
多分油断したんだと思う
血が滲んだ右肩を見て、ただただ苦笑い
ジタンとスコールとの合流場所まであと少しだった。
そこにちょっとしたイミテーションらのお出迎えを食らったわけなんだけど
最後にちょっとへましちゃったわけ
「あーぁ・・・・・あと少しなのに」
その少しが酷く長く感じた
辺りは暗く、そして静かで
あまりにも静か過ぎて、一人だけ取り残された気分になった。
「でも取り残されてるのには違いないか」
そろそろ一人でしゃべってんのもつまんないなぁ
近くにあった木の下に座り込んだ
こんな状況じゃあ動かないほうが利口かもしれない
2人はどうしてるだろうか
探してくれてんのかな、
それとも先に行ってんのかな、
まだ着いてないとか?いやそれは俺だけだな
あふれだす思考
そして眠気が襲ってくる
「やば・・・・」
こんな時に限ってポーションがあるわけもなく
せめてケアルが使えればな、とかぼーっとする頭で考えた。
閉じたくないのに重力に逆らえないように瞼が落ちてきた
真っ暗な視界の海に沈んでいくようで
ああ、最後ってこんなものなのか、とどこか客観的に見ている自分がいて
それをあっけなく受け入れてる自分もいたりして
さよならを告げたいあいつには会えないのかと思う自分にちょっと笑ってしまった
そのまま動かなくなる
「・・・・・ッツ!」
・・・・・・・あれ?
「バッ・・・ツ・・・バッツ!目を開けるんだ!」
がっと目を見開いた
一気に明るい世界が広がった
その世界の中心にいたのは・・・・
「・・・・・スコール?」
「しゃべるな、ケアル」
ぽわっとあたたかくなる感じ
いつも眉間に皺を寄せる彼はひどく影を落としたような表情をしていた
それでいてクールな彼にしては珍しく、額からは汗が吹き出していた
「ちょっと消えるかな、て思ったんだ」
「・・・・・・」
「最後にスコールにさよなら言いたいし、会いたかったなと考えてたんだ」
でもやっぱり現物の方がいいな、と笑ったら
「勝手に消えるな」
とスコールは地面を向いたまま言葉を発した。
長い前髪で見えないように隠してるが、頬が赤く染まっていた
地面じゃなくて、俺に向かって話してよ
そしてその瞬間に顔を上げた彼に口づけた
唇は何よりも熱かった
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