瞳
「いい色してるよな!」
「・・・・・・(何、が?)」
突然後ろから声がして、スコールは身構えてしまった
すでに空は朝へと変わりかけていて、暗い色から明るい青と日差しの色が混ざっていた
思わず視界に入ったものがそれだったため、咄嗟に問い返した
「空が?」
「いいや、スコールの瞳が」
ひんやりとした風が吹きかけてきた
その温度はまだ夜を思わせるものだった
スコールはその言葉を聞いてどう答えていいのかわからず黙り込んでしまった。
それを見たバッツは、に、と笑ってスコールの隣に座り込んだ
「水みたいな空みたいな色だよなぁ」
「……(そんな風に考えたことがない)」
「おれ、そういう色すっごく好き」
「……馬鹿にしているのか」
何とか言葉を出そうとして出た言葉がこれだった
我ながらもっといい言葉はでなかったのかと思うが、自分にはこれでも精一杯だった
しかしそんな言葉をあびてもバッツは何事もなかったかのように会話を進めていた。
「別に馬鹿にしてる、とかそういう意味じゃないんだけど。
こう、俺が好きな色なんだ。
見ていると吸い込まれそうで
水に浮くような、空に飛ぶような感じ?」
「……壮大過ぎて想像がつかない」
あ、やっぱり?とバッツは笑った
この表情は嫌いではないこと
そんなことを彼には一度も口にしたことはなかったが
これが同じ意味の好きならば、何となくわかるかもしれない
スコール自身そこまで瞳の色にこだわられたことがないので不思議な気分でいた
「とにかく好きなんだ」
「………」
「あとその横顔とかさ」
そんなに言われると恥ずかしい、というのが内心だが
照れるということも出来なかったのでそのまま地面に視線を落とした
長めの前髪が目にかかって、バッツの表情をうかがうことも出来なくなった。
スコールは必死に何か答えなければと考えていたが
言葉は浮かんでは沈み浮かんでは沈みで、結局外に出ることは一度もなかった
「すまない…」
「何が?」
「……何て言っていいかわからないんだ」
正直に口にすることさえ、かなりの時間を要した
スコールはようやく顔をあげてバッツを見ると
「こういうときは、ありがとうって言うといいんだ」
「……あぁ」
太陽の光がバッツを照らしていてとても眩しかった
今日も一日が始まる
その時バッツが手をかぶせてきたが、今日は振り払わなかった
せめてのを「ありがとう」を彼に
Happy Birthday!! Squall!!
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