「それって痛くないのか?」
「・・・・・別に」
最近スコールに声をかけると、何かしら応えてくれるようになった
もちろん、何が、とまで彼は聞かなかった。
もしかしたらこの手の質問には慣れているからかもしれない

「もったいないよなぁ、そんなに大きくてさー」
「・・・・・・・」

あれ、怒ったかな?
人よりも口数が少ないスコールは、大抵心の中でしゃべってることが多いっていうのがわかった
まぁ恥ずかしがり屋ってやつ?
それはそれでいいところなんだけどな

「刃物かなんかで「やめろ!」

パチン!といい音が響いた。
あ、ごめんと手を引っ込めたが、手加減が全くなかったみたいで軽く皮膚が赤く染まった。
ただ彼の傷に触れようとしただけ

しかしそれは拒絶されたのだ

俺の手を払いのけたスコールはスコールで少し戸惑った表情をしてた。
きっと何か言葉を探しているのだろう
言葉を選びすぎる彼だから、先に声を発するのはもちろんこちらなのだ

「ごめんごめん。嫌だった、よな?」
「・・・・・・」
まだ言葉は見つからないらしい
今日はどうもついてないようだ
生暖かい気持ち悪い風が吹いてきた
バッツの前髪がさらっと揺れた

座り込んでいた俺は立ち上がった。
そしてその動作をスコールは見つめていた。

「ほんとごめんな?」
また残るのは後悔だけで
スコールの顔を見るのがなんとなく億劫で、後ろ向きのまま振り返らずに
謝罪の言葉だけを彼に向けた

「!?バッツ!」
気づいたら走り出していた。
ああ、ほんとに何で大事なところで空回りしちゃうかなぁ


触れたいだけ
触れたいだけなんだ

また傷が増えた気がした
風が吹いていたかなんてもう覚えてない

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