拒絶
「・・・・・・・バッツ?」
暗闇の中、名前を呼ばれた気がした
―誰に?
「寝てる、のか?」
ゆさ、と肩を触られた。
その振動で俺は重たい瞼を重力に逆らって見開いた。
あぁ、お前が俺を呼んだのか、
「バッツ?どこか具合でも悪いのか?」
いつもよりも不安そうな彼
まるで小さな子供のようで、見た目とかなりのギャップがあった
バッツはしばらく見ているような何も見ていないような視線をスコールに投げかけた
視線を向けられたスコールはスコールで
慎重に俺の言葉を待っているようだった。
「別に」
「・・・そうか」
驚くほど低い声が出て、その声にスコールは伸ばした手を引っ込めてしまった。
そう、多分。
多分だけど
俺はスコールを拒絶している
―近くにいたくない(お前の近くにはいたい)
―傍にいないで欲しい(その隣から離れたくない)
―来る、な(どうか)
―来るな、スコール(多分傷つけてしまうから)
「今は一人で居たいんだ」
「・・・・」
そんな言葉が気づいたら外へあふれていた
その言葉が彼を傷つけるのはわかっていた。
夜の風が酷く冷たく感じる
否、冷たいのは俺の心なのかなぁ・・・
「さよなら、スコール」
「・・・ッ!」
手を強く握り締めて彼はその場を立ち去った。
彼の瞳は酷く揺れていた。
俺はその場にしばらく立ったまま動かなかった
うん、これでいいんだと思う
自分が傷つけてしまう前に、どうか、どうか
「・・・・足だけは引っ張りたくないんだ」
だから、な?
お前を好きになるぐらいは、許されるかな?
―それが精一杯の拒絶
あぁ、天気が変わるのは早い
雨はすぐそこまで近づいていた
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