無理
「・・・・・」
―まだ熱があるな

しかし血は止まっているようだった
スコールは出来るだけ負担のかからないよう、極力動かずに過ごしていた
夜となった今、少しでも回復することに体力をつかった方がいいだろう

「・・・・・」
バッツの方は大丈夫だろうか
ジタンが面倒を見てくれているはずだから、俺が心配することではない、か、
「・・・くっ!」
右肩を思いっきり握りしめられて、スコールは苦痛の声が出てしまった。


「だから無理すんなよ」
「・・・ッ!それはあんたの方、だ!」
ぐら、と体が大きく揺れてバッツの方にスコールは倒れこんでしまった。

「スコール」
「・・・・・(そんな声で呼ばないでくれ)」
手を払おうとしたら、まるで腫れものをさわるかのようにゆっくりと握りしめらた
それがまた嬉しいような悲しいような、表現しがたい複雑な感情を呼び戻した

「おれ、スコールがいなくなったら悲しいからさ」
「・・・・・・」
「無理するなよ、な?」
そしてまたあの笑顔で、俺は完全に負けてしまうのだ
スコールは下を俯いたまま、何も答えなかった。

「・・・・あんたも、」


「ん?」
「無理をするな」
「おう!」

その言葉を発するだけですごい勇気をつかった気がするな、

スコールは視線を地面から、バッツへと移したのだった。
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