汗
―ポタ
――ポタ
「・・・スコールッ!」
声にいつもの余裕は微塵も感じられなかった
それは自分も同じことで
熱に浮かされ続けてどうにかなるんじゃないか、と少し不安にかられた。
しかし快楽の前にその思考はすぐに打ち消されてしまう
「・・・・・ッ」
「声、出せば、いいのに!」
苦しそうな声さえも快楽にかわりそうで恐怖
そんなバッツも嫌いじゃないと思う自分もどうかしているのだろうか
―ポタ、
水滴なのか、汗なのかわからない液体がふってくる
そもそもバッツにつかまれて湖におちた結果がこれだ
衣服は水分を含み重くなっていた
欲情したのかされたのかさだかではない
「・・・・・何、考え事?」
思考が一時中断される
水分で額に張り付いた前髪を手でそっとかきわけられ
そして主導権は彼にあることを思い知らされる
ぎゅうっと自身を握り締められて、声にならない声をあげた。
味わったことのない、熱さ、感覚
自分の出した体液を見て、軽い嫌悪感も抱く
ザァアアっと風が駆け巡った
そう言えばまだ夜なのか、と気づく
あまりにも月が明るいせいか、それとも彼の眩しさにやられているのか、どうでもよくなっていた
「スコール?」
「・・・・ぁ、ば、バッツ・・・・」
もう限界が近い、これ以上焦らされたら本当に壊れてしまう
スコールはすがるような視線でバッツを見つめた
するといつもとは違う、綺麗な笑顔で返された
―へへ、大好き
そんなに嬉しそうに言われたらどう返せばいいんだ
あまりにも真っ直ぐ過ぎる彼の気持ちにすぐにこたえられない自分にもどかしさを感じた
「スコールッ!」
―そんな声で呼ばれたら、
・・・・・・・・・もう戻れない
「はぁ・・・・はぁ・・・・・」
―ポタ、
頬に落ちてきた汗にさえ愛しさを感じてしまう
それをバッツに伝える前に俺は意識を手放した
いつか言葉で伝えたい
―そんなことを真面目に言ったら笑われてしまうだろうか?
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