雨
「・・・・・・・・・・」
空は暗い雲に覆われてさらに大粒の雨を降らせていた。
特に何もすることもなく、スコールは建物の下で座り込んでその雨を見つめていた。
この空だとあと一時間くらいで止むか・・・
―ポタ、ポタ
一定の音を奏でる水の音にただただ耳を傾けていた
「雨って調子狂うよなぁ」
「・・・・・(いつの間にッ)」
後ろから声がして、内心驚いた
振り返らなくともバッツだということはすぐにわかった。
「スコールは名前もそうだけどさ、雨好きなのか?」
「・・・・・・・いや、」
言葉につまった
好き嫌いの対象として、考えたことが無かったのだ
確かに雨の日に任務やらがあたるとすごい憂鬱な気分になっていた
何もかもが面倒になってしまうばかりで
しかし、それを眺めること事態は嫌いではなかった
しばらく何も声を発しないでいると
バッツの視線がこちらにずっと向いていることに気づいた。
―何か、何か言わなければ、
「そういう風に考えたことがない」
「そっかー」
ポタ、ポタ、ポタ
雨音だけが響いていた
「俺さぁ、雨は嫌いだけど」
「・・・・・・(なんだ?)」
「風は吹かないし、太陽なんてこれっぽっちも出ないけどさ」
スコールはバッツの言葉に耳を傾けていた
2人ともどこか遠くを見つめているようだった。
「近くにいる雨は大好きだから」
「・・・・・・・・・(何を言って、)」
一気に血がかけめぐった気がする
雨で少しひんやりとしていた体が熱くなった
「恥ずかしくないのか」
「なにがー?」
どうも彼には遠回りということが出来ないらしい、ということだけわかった
精一杯の皮肉にも彼はしれっとするばかりか
とても笑顔でこちらを見つめていた。
「お?止んだみたいだなー!」
ほらー!とバッツは嬉しそうに太陽の光を浴びていた。
この熱さは、太陽の日差しのせいにしておこう
雨は嫌いじゃない
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