嫉妬
「ごめん、またおれ何かした、よな?」
「……」
「おれさ、すぐに突っ走っちゃうからまわり見えなくて」
「違う」
また低い声が響いた
どこかその音に悲しい音を含んでいたのは気のせいかな?
「え?」
「違うんだ…」
その場にスコールはしゃがみこんでしまった
バッツも一緒にしゃがみこんで、少し耳が赤くなったスコールを見つめた
ああ、こういう時ってすっごくスコールのことが好きだって実感するなぁ
「…笑うなよ?」
「うん?」
気づけば少し月が出てきて、今まで暗闇で見えなかったスコールの顔が照らし出された
月が太陽のようにまぶしかった
「お前の隣をジタンが歩いていたのが少しうらやましいと思ったんだ。
でもそれは子供みたいな嫉妬だろ?そんなこを自分が思ってると思われたら恥ずかしくて
そんな自分は嫌いで考えたら不機嫌になっていた……だけだ」
どうせ笑うだろう?と悲しげな顔をしていたスコールはすごい早口だった
スコールは普通に嫉妬しただけだった
しかし嫉妬相手は自分の仲間で、さらにその嫉妬した内容が子供じみたということで
自分への嫌悪感でいっぱいになってしまっているようだった。
それがまた愛しくて、自然と笑顔になっていた
「嬉しいな」
「は?」
「嬉しいって言ったんだ。
だって普段スコールはそんなに自分のこと言ってくれないし
おれのことどう思ってるのかな〜とかあったからさ」
「……」
「すごくうれしいんだ」
本当のことだし?あ〜今、絶対顔にやけてるかもしれない
バッツは両手でスコールの頬を包み込んだ
それに驚いた彼は、びくりと体を震わせた
「ねぇもっと嫉妬してよ?」
「…あんた馬鹿だろう?」
そう言った彼の顔はとても熱かった
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