02
Butz-side-


スコールの表情がどんどん暗くなっていた
そんな顔をさせたい訳じゃないんだ
ああ、多分この話はしたくないんだな、とすぐに悟った
風が冷たく感じるのは気のせいだろか


「あ、ごめんな。俺のアドバイスなんかいらないよ、な?」
「・・・・・・」

何も言葉を発してもらえない
いや、口数の少ない彼のことだから、
頭の中で色々と考えてそこでは発言しているのだろう
またバッツの前髪が揺れた
彼よりも長いスコールの髪も揺れていた

―あぁ、綺麗だな
俺こういうスコールも好き


これを彼にいえたらどんなに楽だろうか
それとも思ったことをすぐに口に出してしまうようなやつだから、有り得ないと否定されてしまうだろうか


「とにかく俺は応援してるから頑張れよ!」
これでも一番おにーさんなんだから、任せろって
それくらいは俺に頼ってくれてもいいよな?

さっきよりも強い風が吹いた
どうも今日は風も味方してくれないようだ


「お、ジタン」
盗み聞きしていやがったな!と笑いながら話しかけると、中途半端に彼は笑った
スコールと同じような表情
いつから聞いていたのだろうか?
でも俺はそれにも気づかないふりをして

「スコールがお前のこと興味あんだってー!良かったなー!」
「はぁ?何でお前は「だからお邪魔虫はまたしばらくと風になってきまあーす!」
ジタンの言葉は最後まで聞かなかった
否、聞きたくなった
何て自分勝手なやつだろう、しかしこれは想い人への精一杯のプレゼント

―なぁスコール?
それぐらいは近づいてもいいかな?
俺の場所もちょっとあると嬉しいんだけどな

気づいたら全力でその場から走り去っていた

―ほんと、かっこ悪い



Squall-side-


「・・・・・・(意味がわからない)」
そう、意味がわからないのだ
スコールはただただバッツが去っていった方向を見つめていた
それを見たジタンは話しづらそうに、しかし同じ方向をしっかりと見つめて

「あいつ、何勘違いしてるんだ?」
「あ・・・・」
ジタンの言葉にも動揺した
これは、否定と受け取っていいとみた。
しかし今の言い方にはどうもひっかかったのだ

「バッツって余程スコールのことが好きなんだなぁ」
「・・・・・・」
「良かったじゃん、両思いで。でも何か変なことになってるけどさ」
「・・・・・・・・・は?」

もう思考がついていかない
思わず間抜けな声を出してしまった。
それを見たジタンはにやりとして、

「もっとスコールもあんぐらいやらないとさー。あのバカには伝わらないよー?」
「・・・・・・・・・そういう訳じゃ「もう2人ともややこしいなー!」
好きなら好きって言っちゃえばいいのに、
そうつぶやいたジタンは少し悲しそうな瞳をしていた。
しばらく見つめているとスコールの肩をとんとん叩きながら

「じゃあ頑張ってきなよ。おれさー木の上で寝てるから、解決したら起こして」
じゃ、と言いつつまたジタンは去っていってしまった。
何でアンタもあんなに悲しそうな顔をするんだ
そもそも何故こんなことに・・・

―頭が痛い・・・
バッツの言葉に乱されたのは確かだ
しかしジタンの言葉にも同じように乱したのは言うまでもなく

今行動しなければならないことだけは確かだった
しかしスコールは踏み出すことに恐怖をおぼえた
もし勘違いだったら?
ただの思い込みで・・・・彼に、バッツに否定されてしまったら
立ち直れるだろうか、気丈に振舞うことが出来るだろうか

―ザワッ
スコールはハッと顔を上げた
風が冷たくなっていた
空を見上げると先程までとは違い、灰色で埋め尽くされようとしていた

「・・・・・雨が降るな」
その言葉と同時に立ち上がった
スコールの髪が先程よりも風に揺らされていた

一歩を踏み出さなければいけない
このもどかしさをどうにかしなければならない

気づけば走っていた

―ああ、雨は少しも待ってはくれないのか


空からは涙が降ってきた

<< back