a lovely day
雨だ
雨だ!!
雨だ、土砂降りだ

「くっそ…ッ!!」
足元は滑ってなかなか前に進めなかった
サイファーの黒いズボンは泥がついてびちゃびちゃになっていた
せっかくワックスで立てた髪は肌につくようにぴったりとしていた
「なんで俺だけ外なんだよ、チクショーッ!!」
土砂降りの中、ハイペリオンが空しく宙を切り裂いた

ただの警護の依頼だった
時間も2時間と短く、身辺警護のみ、とだけ伝えられていた
実際現地に行くと、サイファーの想像を超える人数がすでに警護についていた
『お待ちしておりました。あなたには是非あちらの警備をお願いしたいのです』
依頼人はそう言って、雨が吹き付けている斜面が急なところを指差した
以前、モンスターが出たらしい
敷地内に入れる前に倒してほしい、とのことだった

「こんなところにいるかっつーの!!」
思いっきり地面を蹴り上げた
白いコートが汚れるだけだった
雨は容赦なく叩きつけるように振り続けていた
くそ、こんな寒い時に、それも雨が降ってるときに…!!
サイファーはイライラしていた
今大型モンスターが出てくるとしたら瞬殺できる自信があった
しかし何も現れずに2時間が経過した


「…へっくしゅん」
案の定風邪をひいた
部屋に戻ってすぐ風呂に入って寝付いた
サイファーは部屋の暖房をがんがんにかけたが、寒かった
時計を見れば、まだ1600だった

「サイファー?部屋にいたのか」

―最悪のタイミングだ
視界にちらりと入ったスコールを見てサイファーはそう思った
「んだよ、報告書なら明日出すからな!」
「わかってるよ」
「じゃあ何しに来たんだ。理由によっちゃ追い出すからな!」
「え…」
サイファーの言葉にスコールが凍りついた
「なんでそんなことを言うんだ」という顔をしているからだ

「サイファー、ケーキ食べないか」
「まだ夕飯前だぞ」
「サイファー、ワイン飲まないか」
「ああ?クリスマスにはまだ少し早いだろ。パーティなら違うやつとやれよ」


「サイファー」

「んだよ、もうでてい…」
サイファーの目の前にスコールがいた
スコールの唇が何よりもあたたかかった

「今日誕生日なのを忘れてたのか?」
「あ、あ?誕生日…」

サイファーはしばらく呆然としていた
スコールはサイファーがしゃべるまで黙っていた

「じゃあとりえあず、さっきのもう一度してくれ」
「他に言うことはないのか」
そう言いながらスコールは嬉しそうに唇を押しあてた

Happy Birthday!!Seifer!!

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