devotee
『スコール、頼む、一本でいいから、冷たいモン買ってきて。
あ、炭酸はやめてくれ。すっきりしたやつ 』
スコールは茫然とした。
今日は休日だったため、少し遠出をしてわざわざシルバーアクセサリーを見にぶらぶらしていた
天気もよく、青空が輝いていた
ゆっくりと昼食をとろうとした瞬間だった
サイファーから電話がかかってきた
あいつは今日オフではなかったはず
それもわざわざ冷たい飲み物を頼むために、電話してきたということなのか
スコールは、悩んだあげく、ホットドッグを買って食べながら戻った
途中で頼まれた飲み物を買って
・・・飲み物投げつけたら、ガンブレのパーツでも見て来よう
まだ時間はあるんだ
「・・・サイファー!」
−シュイン、と扉の開く音だけが響いた
いつもなら音楽が流れるなりして、結構雑音が多いのだが
部屋の中はとても静かな雰囲気だった
「・・・?」
もしかして、部屋にいないのか?
スコールはテーブルに飲み物を置いて、寝室に向かった
「サイファー?」
「・・・あぁ、スコール、悪かったな」
「・・・」
「休みなのに悪かったな、もう帰っていいぜ」
「飲み物だけで良かったのか」
スコールは後悔した
何故電話で気づかなかったのか
あまりにも自分の落ち度に絶望した
「熱が出たなら、ちゃんと言ってくれれば、」
「お前休みだったから」
「・・・頼ってくれても」
(いいのに・・・)
スコールはみじめにもなった
スコールはその後、飲み物をサイファーに押しつけて
黙々とおかゆを作り始めた
それを無言で押しつけて、スコールはサイファーが眠りにつくまで離れなかった
「スコール?」
「・・・」
「スコール?」
「さいふぁ・・・」
「俺、熱下がったから、もう戻ってもいいぜ」
気づいたら一緒に寝ていた
ちらり、と窓を見つめれば、もう夕日が差し込んでいた
そのままサイファーも見つめてみれば、少し汗ばんで、しかしまだ調子が悪そうだった
スコールはもう一度目を閉じた
「サイファー」
「んだよ」
「まだいたい」
「・・・そうか」
「・・・追い出さないんだな」
「そこまで鬼じゃねーよ」
そう言ったサイファーの声はとても穏やかで、好きだった
スコールは夜までベッドの上から動かなかった
サイファーも何も言わず、ひたすら目を閉じて、寝ているか寝ていないか
区別がつかなかったが、特に動かなかった
「・・・(たまにはこういうのもいいかもしれない)」
「・・・」
スコールは、何を思ったのか、サイファーの鼻をつまんで笑った
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