for you
―パリンッ

「あ、」
割れたそれを見て思わず小さい声が出た
すで半分は原型が無くなったそれは、破片を飛ばしてキラキラと光っていた。

スコールはしばらく、その壊れたものを見てショックを受けていた
・・・これは、


『いいだろ?サイファー様専用グラスぐらい置いてあったって』

―サイファーのグラスだったのに
割ってしまった
「・・・・・・・・」
手が滑っただけなのだ
しかし、
スコールはそのまますぐに部屋を出て行った。




「お、遅いじゃねーか」
「・・・約束した覚えがない」
サイファーが割れた、その場所に立っていた。
そう言えば、まだ破片を片付けていなかったのだ。
「・・・」
スコールは荷物を置いて、破片を片付け始めた。
サイファーが何も言わないのが逆に怖かった。

「・・・痛っ」
「普通掃除機だろ、何で素手で触るんだよ」
血液が流れ出た指をそのまま口に入れられた。
今が謝るタイミングだろうか、
それとも・・・

「その、」
「なんだよ」
顔をあげることができなかった。
わざとではない、わざとな訳がない
しかし現実に割ってしまったのは自分なのだ

頭の中では何度も言えても、言葉にするのはこれほど難しいものなのかと、必死になった。
「おい、何度言ったらお前は声に出して話すんだ」
「・・・(言われなくてもわかってるさ)」
「スコール?」
「・・・す、すまなかった。」
何とか謝罪の言葉だけは外に出て行った。
とにかく、言葉よりも行動にした方がはやいと思って
買ってきたグラスをサイファーの目の前に出した。

「あんたのだったから」
まだ、顔を見ることができなくて、自然と視線は下へと向いた。
するとサイファーに両手で顔をつかまれて向き合うようにさせられた。

「ひっでぇ顔だな、スコール・レオンハート殿?」
「・・・ッ!ば、かにするな!」
「別に割ったぐらいで気にしちゃいねぇよ。
 それよりこれ、買ってきたのか?」

サイファーの指先には急いで買ってきたグラスが置いてあった
「あぁ・・・気に入らないなら、俺がつか「いや、それは俺のだ」
―相変わらず強引だな、
スコールが視線をようやくあげると、そこには嬉しそうに笑ったサイファーがいて


「だってお前からのプレゼントなんて滅多にないからな。今度は割るなよ?」


その言葉の方がむしろプレゼントだな、
スコールはその言葉の返事を、そのまま行動で返した
今度はサイファーが驚く番だったのだ


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