just like you
『彼のどこが好きなんですか?』
『愛されてるなって思う瞬間ってありますか?』

サイファーは耳に入ってきた音に眉をぴくりとさせた
オフの日の午後のことだった
テレビをつけっぱなしにして眠り込んでいた
窓から入る日差しが柔らかく、風もそよそよと心地よかった
何より空が青かった
そんな中、サイファーは自室でまったりとしていた

スコールと付き合って随分と経った
しかしお互いがお互いで束縛するような関係ではなかったため
ある程度自由だった。いや、自由すぎるか?

起き上がってちらりとテレビの方に向ければ
女の司会者が、ゲストに対し恋愛観を根掘り葉掘りするつまらない番組が流れていた
人のを聞いて何が楽しいんだか、
サイファーは寝がえりをしながら、視線を天井に向けた
「・・・」


スコールのどこが好きなんだろうか?
顔?いやそんなこと言ったらぶっ殺されるな
いや、いや、顔も好きだぜ?顔も、な
かと言ってスコールは他の人に比べれば、かなり優しくない
たまに、ほんとうにたまに見せる優しさもあるが
サイファーはそれを見つけるのは 困難だと思った

愛されてるなって思う瞬間?
悩む質問だな、なかなか難しいぜ

目を閉じて考えた
ふわっと風が吹いて気持ち良かった

「あ、」

そういえば、この前手をつないだことがあったな
あん時のスコールは可愛かった
暴言ばっかりで可愛いっていうか悩んだけどな
サイファーは思い出しながら、ふっと笑った
ああいう、普通の恋人同士がすうようなことを普段絶対にしないスコールが
そういう行為をするときは全ていとおしく思えるのだ
なんてめでてぇ頭してるんだ俺様は・・・。

「スコールに愛されてるって思う時かー」
思わず声が出た
愛されているなぁと思う時
目を閉じてまた考える
ふわっとまた風が吹いた


「・・・はっ、驚かせるなよ」
「寝てるのかと思った」
「冗談」
暖かい風だった
目を閉じて少ししたら、唇を押しあててくるやつがいた
わざとゆっくりと目をあけて、視線を絡み合わせた

驚いた、本物のスコールがいるぞ、おい

「もう終わったのか」
「あ、あぁ」
歯切れのわりぃ返事だった
サイファーはそれをすぐに察知して起き上がってスコールを掴んだ

「どうしたんだ」
「さっきの、」
「あぁ?」
「ひとりごと」
スコールは少し恥ずかしそうに一言一言ぽつぽつとつぶやいた
まだ外は明るかった
サイファーは気づいて、あぁーと声をあげた

「愛は感じない?」
スコールは愛おしそうにサイファーと指を絡み合わせた
猫のようにサイファーもそれに付き合った
珍しく今日のスコールはわかりやすかった

「はは、十分感じてるな」
「感じてないって言われたら殺してやろうと思った」
「おい、今声がすごい真剣だったぞ」

スコールが笑った
今の瞬間が一番愛されている時間



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