time limit
「げ、マジかよ」
手渡された書類を見て思わず声が出た
「なに、何か不満でも?サイファー?」
「…別に、なんでもねーよ」
あら、そうならさっさと準備しなさいよ、というキスティスの声はどこか遠くで聞こえた
俺はすぐに指揮官室へと直行した
ずかずかと歩きながらすごい形相をしていたのか、すれ違う生徒どもは此方を振り返るばかりだった。
自動のドアがシュン、と開いて大声を出した
「スコール!!」
「……うるさい」
「なんだ、これは!」
バンと机に先ほど渡された書類をたたきつけた
パソコンに向かいっぱなしだった彼は視線を移すことなく、冷淡に言葉を紡いだ。
「長期任務だろう?」
「そんなこと聞いてるんじゃねぇ!」
「あと5時間で出ないと間に合わない」
くそ、俺を見て言え、せめて!
サイファーは淡々と言葉をのべるスコールにいらだちを覚え、彼が座っている目の前に立ちはだかった
肝心のスコールは書類を整理しながら、未だにパソコンにべったりしていた。
「おい」
「……」
「指揮官殿、き・こ・え・ま・す・か?」
「うるさい!」
耳元で大声で叫べば流石のスコールもこちらを向いた
しかしその顔は怒っている、というよりは気落ちしている、と言ったような具合だった。
「あんたが適任だったんだ」
「……だろうな、これを読む限りじゃ」
ぺらり、と先ほど投げた書類を改めて見直した
細かい任務内容と、要求がびっしりと書かれていた
スコールはようやくサイファーの方へと向かい合った。
「これだけ要求が細かいと中途半端な者は出せない。
こちらもそれなりのある者を出さなければならない」
「その答えが俺だと?」
「実践なら得意だろう?」
しかしまだスコールの視線はこちらと合わなかった
俺はそれを聞いてる訳じゃないんだ、お前もわかっているだろう?
イライラして壁を殴れば、また怒られる
「…スコール」
「なんだ?」
「まだ昼食とってないよな?」
「あぁ?」
スコールはサイファーの予想しなかった言葉に驚いた
そして間抜けな声が指揮官室に響いたのだ。
「お前の誕生日に俺様がいないという事態はあり得ない
しかし、お前がどうしても、っていうなら今から準備していく」
「ああ、ありがとう。それなら「あと5時間って言ってたよな?」
にやり、と笑うとスコールは理解出来ない、という表情を浮かべた
「スコール、時間がないんだ」
「サイファー?」
「今から休憩時間だ」
サイファー?!とスコールが叫んだ時には、俺は手を掴んでそのまま指揮官室を出た
そしてそのままスコールの部屋に直行した。
渡された書類は丸められて手の中におさまっていた
「もう二度と帰ってこなくていい」
「なんだよー、あんなによがってたのに」
「もう帰ってくるな!サイファー・アルマシ―!」
枕がぶっ飛んできて、俺はすぐに避ける
パリン、と何かが割れる音がしてますますスコールの怒りが増大したようだった。
俺はと言えばすっかり着替えて、準備万端であった。
「じゃあ、時間ねえから行くからな」
「……」
「誕生日の次の日は、ロ〜マンティックに祝ってやるから」
「…あと4時間しかない」
「はは、そりゃどーも」
そんな別れ方も悪くないと思いつつ、俺は任務に向かうためスコールの部屋を出た
途中、いいんちょ知らない〜?と聞かれたので、部屋で具合悪そうにしてると笑って答えた。
今年の誕生日プレゼントは何にしようか?
<< back