Timing in which he says good night.
今夜はとても冷え込んでいて、さらには曇っていたせいか、とても暗かった

「スコール?」
「・・・・・・」
「寝てるのか?」 「寝てない」
なら返事ぐらいしやがれ
こつん、と指で額を弾かれると、スコールはあからさまに嫌そうな顔をした
たまたま通りがかったところにいたものだから、声をかけられずにはいられなかった
廊下には非常灯と歩くためだけの必要な小さな足元を照らす明かりしかついていなかった


「にしても何で図書館なんかにいるんだ?」
「それをあんたに言われたくない」
「それももう閉館してんだぞ」
見つかったらどうするんだよ、とか小声で言えば
関係ない、とつぶやいて彼は本のページをめくった
よく見れば机の上には何冊もの分厚い本が無造作に積まれていた

「…全部読むのかよ」
「いや、必要なところだけだ。サイファー、頼むから邪魔しないでくれ」
少しイラついているような、しかし眠そうな声で答えは返ってきた
あと少し会話を続ければスコールは怒り出すに違いない

サイファーはしばらくその様子をおとなしく見ていたが、突然スコールの読んでいたページを閉じた


スコールは一瞬何をされたか理解できなかったようだが
すぐにきつい視線でサイファーをにらみつけた
「邪魔するな」
「もう寝ろよ」
「邪魔するなと言っているんだ」
「明日でもいいじゃねぇか」
言いあいが続くと思えばスコールが無言になった
明日といっても実質日付は今日になってからずいぶんと経っている
しばらくしてまたペラペラとページがめくる音だけが響いた

「ち、人がせっかく心配してやったのによ」
その言葉からスコールはサイファーが出ていくと予想していた
しかしすぐにその予想は裏切られ、間抜けな声を出した
「・・・サイファー?」
スコールの椅子の足元に座り込めば、ひどく驚いた顔をされた
このまま先に寝られるかよ、
そんな言葉は飲み込んで、代わりに違う言葉を吐き出した。


「生憎俺は眠くないんだ、どこかの誰かと違ってな」
「・・・・・・」
「早く終わらせろよな」
「・・・・・・あぁ」
少しだけ嬉しそうな含みがあり、自分自身で笑ってしまった
ページをめくる音が先ほどより少しだけ多く聞こえた

おやすみを言う時間も近いだろうか


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