the sweetest thing
暑い!暑い!暑い!
サイファーはイライラしていた。
ここのところ猛暑だった、なのに部屋の冷房が壊れたのだ
あまりの暑さにタイルに冷たさを求めたが硬くて眠れなかった

くっそ、にしたって暑い!
8月のこのくそ暑い時に冷房がないだなんて!!
サイファーはイライラしていた。
冷蔵庫からキンキンに冷えた水を流し込む
少しだけ、喉元から清涼感が生まれた気がした。
しかし気がしただけ、なのである

窓を開けても風も入ってこない、いっこうに冷える気配のない室温
サイファーは頭に血がのぼりきっていた。

「くそ!」
枕を投げつけて外に出た。


中庭の方がいくぶん涼しかった
少しだけ、少しだけ、な!
サイファーは芝生の上に寝転んで、星空を見上げた
風が少し吹いて、涼しかった

「サイファー?」
「ああ、暑くて頭までおかしくなったみたいだぜ。スコールの声が聞こえる」
まるで寝言のように、しかしはっきりと言葉にした
おいおい、よしてくれよ、スコールは任務で今、

「サイファー?」
スコールがサイファーを覗き込むように見つめていた
サイファーはびっくりしてそのまま起き上がった
「な、お前!なんでいるんだよ!!」
「・・・あんたこそ、こんなところで何してるんだ、もう日付も変わって、あ」
「あ?」
「いや、なんでもない」
「そこまで言ったら気になるじゃねーか。」
「別に大したことじゃないんだ」
スコールは疲れたように溜息をついた
確か明日というか、もう日付はかわってるから今日か、
帰還予定だと聞いていた。それなのに、どう見たって無理矢理帰ってきたようだった
珍しいな、こいつがこんなに早く帰って、

「あ?」
「?」
今度はサイファーが声をあげた
「おい、今日何日だ、日付が変わった今だ」
「・・・23日だ」
「そうか」
「ああ」

しばらく二人で無言になった
サイファーは次に言う言葉を考えていた。

生温かい風が吹いた。
やはり外も暑かった

「お前の部屋は冷房部ッ壊れてねーだろうな?」
「は?・・・あんたの部屋まだ直ってなかったのか」
スコールはサイファーの全く関係ない質問に驚き、少しショックを受けた
スコールは待っているのだ、サイファーの言葉を


「そうか」
サイファーはつぶやいたまま、また夜空を見上げた
そして嬉しそうに

「愛する人と同じ時間にいれて幸せだな、スコールは」
「はい?」
「わざわざ帰って来てまで俺に会いたかったのかよ。もっと素直に言えば何度でも言ってやるんだぜ?」
「・・・」
反論するかと思ったスコールは黙り込んだ
下を向いて考え込んでいるようだった
サイファーはまた寝転んでその表情をうかがっていた。

「サイファー」
「なんだ」
「サイファー」
「おう」
「抱きしめてくれ」
「ああ、喜んで」
どんなにくそ暑いって言われたって、絶対に離さないんだぜ?
その覚悟はできているのか、愛しい人よ

サイファーは嬉しそうにスコールを押し倒した
スコールは恥ずかしそうに顔だけ隠した

Happy Birthday !! Squall !!


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