silence02
まるで底なし沼に沈んでいく感覚
手を伸ばしても何もかも飲み込まれていくような
生きているのかそうでないかもわからないものに支配されていた。
「………」
あれは夢だったのか・・・・?
変わらない部屋
静寂を保っている室内
サイファーがいた気配なんて微塵も感じられない
“・・・・サイファー?”
起き上がろうすると、すぐに現実に引き戻される
「・・・・ッ!」
痛みよりも何よりもその感覚が苦痛で、すぐにシャワーを浴びにひきこもった
はやく自分の体内にあるものをどうにかしたくて
それが何かという思考は排除した
髪も乾かさずにベッドに倒れこめば、また眠気が襲ってくる
瞼はすぐに閉じていった
しかし瞳に瞼にまで焼き付いてしまったかのように
あの悲しそうなサイファーがいた。
まるで別人のような、
あの表情をしていた彼がいるのだ。
―彼は泣いていたのだろうか?
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