思い出
『おい、泣き虫!』
『・・・・ぅ、ひっ・・・・さ、さいふぁ・・・・』
『こーんなところにいやがったのか!まませんせーが探してるぜ』
『だ、だって・・・・・・』

―おねーちゃんがいないの・・・・―


『ふん、そんなの知らねーよ。だから泣き虫の相手なんかしたくなかったんだ』
『さ、サイファー・・・・』


―ぼくをおいていかないで―


「・・・・・・・・」
なんつー目覚めのわりぃ夢だ・・・
寝返りをうって天井を見つめた。
もう陽が沈みはじめたのか、辺りはすっかり暗くなっていた

「くそ・・・」
二度寝をしようとしても、あの泣き虫スコールの顔が離れやしない
瞼に焼きついたようにあの顔が
もう一度寝返りをうって、気づいた


「てめ、いつからいたんだ」
「・・・・・・さっき」

おいおい、こいつにしゃちゃあ、かなりアバウトだな、
ぶつぶつ言いながら起き上がった
よく見れば冷めたコーヒーが置いてあった。
かなり前からいたな、こいつは・・・・

「電気ぐらいつけろ、目ぇ悪くなるぞ」
「別に」
またそれか、
冷めたコーヒーを一気に流し込んだ。


冷てぇ


泣き虫スコールもかわんねーな、
可愛いところもかわんねーぜ、とか言ったらぶっ殺されそうだ

「・・・・夢でも見てたのか」
「お、俺のことが気になっちゃう訳?
ま、お前がおねーちゃんおねーちゃん泣き喚いてるだけだったけどな」
「・・・そうか」
な、何だよ・・・
言い返せねーと調子狂うじゃねーか
スコールはサイファーの隣に座り込んだ。
そして冷めたコーヒーを持ったまま


「何か悔しいな。夢の俺に嫉妬しそうだ」
「今日はやけに直球勝負だな」

「そうかもな」

そう言ったスコールの笑顔は、思い出の何倍も愛しかった。


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