log(0318〜0407)
0407
アナザーな58
「スコール!」
スコールを見つけて思わず声をあげた。
「・・・・・・・・バッツ?」
「あーやっぱりスコールだ!何それ、いつもと違うじゃん!」
こういうのって正装っていうやつ?それとも制服?
普段黒尽くめな彼にしたらとても珍しい光景で、俺は思わず足元からゆっくりと視線を上へとあげた。
すると、すごい間抜けな顔をしたスコールがいた。
「ん?何かついてる?」
「・・・・・い、や」
「?」
「その・・・・銀髪・・・だから」
スコールは予想しなかった事態に直面して混乱してる感じ?
ああ、そう言えば俺も“いつもと違うんだっけ”と自覚する
中身はかわらないんだけどなぁ?
「たまにはこういう色もいいだろー」
「・・・・・・」
スコールはまだ驚いているようで動かない
ああ、制服きっちり着てるなぁ
そんな彼に触れたいなぁ
とかそんなこと思ってるだなんて、きっと彼は想像できないだろう
「スコール」
「!?」
ぐいっと彼を引き寄せて、そのまま耳元で
「こういう俺もたまにはいいだろ?」
「―ッ!」
いつもとは違う俺たち
だからいつもと違ってそのまま耳たぶを甘噛みした。
―――――
0406
―ガチャ・・・
「?」
「あ、お帰り」
「・・・・ただいま。帰ってたのか」
鍵がかかっているはずのドアが開いたので不思議に思ったら、バッツが先に帰宅していた。
最近残業が多い彼にとっては珍しいことで、スコールはすこし驚いた。
「今日は昼ごろで終わったんだ」
「・・・・」
「夕飯買って、来ちゃったから」
「あぁ」
制服をハンガーにかけながら、考えた。
昼ごろに帰ってきたはずなのにバッツはまだスーツ姿のままだった。
何よりもいつもより歯切れの悪い会話をしているようで、違和感を感じた。
気になって、バッツの向かい側に座った。
「スコール?」
「・・・・・・」
「なんだ?そんなに見られたらはずかし「早退か?」
あれ、ばれた?とバッツは苦笑いした。
スコールの眉間にどんどん皺が増えていった。
「ああ、でもちゃんと明日の朝ごはんは俺が作るから」
「いや、あんたは寝てていいから」
「大丈夫だって、子供じゃないんだから」
そう笑う彼はどこか元気がなくて、落ち着かなかった。
俺じゃ頼りないのか、とマイナス思考が生れ落ちてくる
もっと頼って欲しい、と願うのは
多分自分のわがままなのだろう
とりあえず、無理矢理バッツをベッドまで押しやり、明日の朝食を考えた
消化がいいものがいいだろう
夕飯は買ってきたと言ってたが、おかゆとか暖かいものを作ろう
それからスコールはすぐに冷蔵庫をあけた
―――――
0402
「・・・・・・(4月1日か・・・)」
「・・・・・・エイプリルフールだな」
「え、なに?」
バッツがくるりと振り向いた。
小さい声でつぶやいたスコールは、その声が聞こえていたことに驚いた。
「いや、何も・・・「絶対言った!」
―困ったな
自分がつぶやいたせいで、今から会話を始めなければならない
それが面倒で、眉間に皺を寄せたがバッツの熱い視線には勝てなかった。
「エイプリルフールと言ったんだ」
「・・・・えい・・・・何?」
「・・・・・エイプリルフール。嘘をついてもいい日だ」
「へーそんなもんがあるのかぁ。じゃあ何か嘘つかなきゃな!」
バッツが太陽みたいな笑顔で言った。
―そんな顔で嘘をつかれてもな、
スコールはしらばく、何か考えているバッツを見つめていた。
うーん、あー、えー、とバッツはうなっていた。
「スコール!」
「・・・・・なんだ(思いついたのか?)」
「スコール愛してるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
今何と言った?
聞き間違いか
聞き間違いだ・・・・・・な
あまりにも驚いて、間抜けな声を出してしまった。
言った本人はひたすら笑顔でこちらを見つめていた。
「・・・・・・・・・」
後ろに振り返って足を進めた。
バッツは追いかけてこない。
多分本人も“そんなつもりでない”で言ったのではないだろう
自分で話をふってしまった手前、自己嫌悪に陥りそうだった。
嘘だ、嘘なのだ
あれは自分に向けられた言葉ではない
その場から離れたくて、駆け足になる手前に呼び止められた。
「あ、でももう1日じゃないな。
ってことは言ったやつは全部本当な訳だな」
「・・・・・・・・・(こいつ)」
『愛してるよ』
スコールは見事に、はめられたのだと気づいて血が上ったように熱くなった。
この熱さは、言葉のせいではないのだ、とひたすら言い聞かせていた。
――――――
0329
現代パロです。
バッツ→大学生か社会人(アバウト過ぎる・・・)
スコール→高校生
ジタン、ティーダ、フリオ、ティナ→同じく高校生
こっちの人たち出てきませんが、設定だけ。
クラウド→配達屋のお兄さん(ACみたいな?)
wol(ライト)さん→誰かの保護者
セシル→病院の人
オニオン→ティナの弟
バッツとスコール以外、あまり出てこない話だったのでまあ適当に。
そしてここのシーンがあんまり明るくないというか、ストレートに言えば、個人的には暗い部類です。
「あれ、今日もスコール休みっすか」
「そうみたい」
ティーダが昼休みきっかりに隣クラスへとやってきた。
もちろんでっかい弁当箱をかかえている。
「先生はちゃんと話してくれなかったから」
「もしかしてインフルなんすかねー」
「いんふる?」
ティナが「???」となったので即座に答えた。
「ああ、インフルエンザ。たまーにこの季節にひくやついるからさー」
「だったら一週間は学校これないもんね」
夏休みがあけたというのに、まだじっとりとした暑さが続いていた。
「・・・・・・・」
―ペラ
―ピ、ピ、ピ・・・
―ペラ
―カチ、カチ、
「・・・・・・(あ、もうこんな時間か)」
腕時計を見ると、19時近かった。
俺は広げた参考書やらをカバンに詰め込んで、出て行く準備をした。
外はまだまだ陽が沈む気配がなく、セミの声が終始聞こえていた。
心地よい空調がきいた室内から、外へ出るのは億劫だった。
きっと帰る頃にはべたべたして、シャワーが恋しくなるのだ。
「・・・・・・バッツ」
スコールは椅子から立ち上がった。
「また明日、な」
足が重い
動きたくないのではなく、離れたくないのだ
下唇を噛みながら病室をあとにした。
「スコール!」
「・・・・・・・(何故いるんだ)」
スコールの目の前には久々に見た高校の人間がいた。
身長的に彼を目線を合わせることは滅多にないが、ぎらぎらとした瞳が見つめていた。
「最近がっこーこないじゃん?だからティーダがインフルじゃないかーって。だから確認のために待ってたんだけど」
「・・・・・そうか」
早く自宅へ入りたかった。
しかし、入口はジタンに塞がれていた。
「なに、不登校?」
「・・・・・・(聞くな)」
「優等生の反抗期?」
「・・・・・・・一応教師の許可を得て、休んでいる」
なぁ〜んだ、心配しちゃったと彼は笑った。
その笑顔を見た途端、体の奥がじくじくした。
「スコール?」
「悪いが帰ってくれ」
「え、」
「帰ってくれ」
生暖かい風が吹いた。
「だって今日はバッツまだ帰ってないみたいだし」
「・・・・・・・・・」
その名前を聞いた瞬間にさらに奥が痛くなっていくような気がした。
気づいたらドアを押し開けて鍵をかけていた。
ドアの前で騒がれようが、何をされようが、スコールは聞こえないふりをしたのだ。
「ぜーったいバッツとケンカしたんだって!あれは!」
こら、箸でささないんだぞ、と注意してもジタンは止まらなかった。
いつものようにスコールを除く4人で弁当を食べていた。
そしたらジタンが昨日の一部始終を熱く語り始めたのだ。
「確かに、バッツはああ見えて子供っぽいところあるし」
「でもスコールは先生の許可がとか言ったんでしょ?」
「いーや、あいつのことだからわっかんないって!」
ジタンは階段の段差を使い、皆よりも高い位置にたった。
ちゅーもーく!とわざとらしく言ったあとに
「ということで、明日スコールがどこに行くかついていこうと思う」
おおー!と騒いだのはティーダ
拍手してどうするんだ、サボりだろ
「のばらはもちろんメンバーの一人です!」
そういわれて固まったのは言うまでもない。
ティナは報告を楽しみにしてて!と言ってジタンは笑った。
「・・・・・・・・」
相変らずかわらない景色
買ってきた花を花瓶に突っ込んだ。
いつものようにカバンを置いて、いろいろと取り出す。
スコールは無表情にそこにいるのだ。
たまに視線は彼の隣へとうつる
『お前の珍しいわがままなんだから』
『おれにもたまにはかっこつけさせて?』
『あーあ、すねるなよー!』
『・・・・・・・よ、か・・・・・・た・・・・・・・・』
ぶわっと記憶があふれ出してくる
鮮明に、まるでスローモーションのように
コマ送りされているのではないかと勘違いするほどの正確さなぐらいに
スコールは恐怖の瞳でバッツをうつし続けた。
「・・・・・・・・・(俺があのとき、)」
―わがままを言わなければ
―避けなければ
―彼は
・・・・・・・バッツは
―――――
0318
ちょっと前の英国風ミステリ小説的な設定
バッツ
→休暇中の警察官
ちょっとした列車の旅が好き。書類と向き合うデスクワークよりはあちこち捜査しに行く方が性に合っている
ジタン
→小さな村に2週間ぐらい滞在する曲芸師
あちこちの婦人とお茶をするのが得意。噂話にも精通しているが謎が多い
スコール
→ジタンが滞在する村にある富豪の三男。
普段から引きこもりがちで、図書館以外は滅多に外に出ないので村の人からも距離を置かれている
バッツが知り合いを通じて泊まることになったある富豪の家で殺人事件が起こった。
その現場に居合わせたのは、滅多に部屋からも出てこない三男のスコール
彼は血まみれの手で現場に立ちすくんでいた。
誰もが彼が犯人だと思う中、たまたま近くを通ったジタンが誰かが走って出て行くのを見たと証言した。
バッツは主人やスコール本人、ジタン、手伝いの娘達に村の人々を調査しつつ、事件の真相に迫っていく
そこですぐに第2の殺人が起こってしまう
<< back