嫉妬
そんなに熱い性格だとは思っていなかった
だって普段のスコールは、冷静で口数も少ないし、何よりも感情が表に出ることがなかった
今だってそんなに大きく感情が出た訳じゃない
少し瞳孔が大きく開いただけ
そんな一瞬の隙しか無かった。
バッツは視線の先にいるスコールを捉えた
彼は不機嫌そうに背中を向けてきた。
「なんでスコールがあんなに不機嫌なんだ?」
「さぁ?」
ジタンと並びながら歩いていたバッツは、二人よりも先を歩いているスコールを見た
どう見ても話しかけるな、というオーラを発しているのだ。
「おれ、また変なこと言ったかなぁ?」
「のろけならもうたくさんだからなー」
「…スコールの考えてることがわかればなー」
「乙女の心ならわかるけど、獅子の心はわっかないよな〜」
ぷ、と二人で笑ってあはははははと大声で笑った
いつもなら、何を笑ってるんだと聞いてくるスコールは振り返りもしなかった。
「バッツ交代の時間だ」
「ん?あぁ、もうそんな時間か」
バッツはようやくスコールと話すチャンスがやってきたと思った
今日の空はやけに曇っていて、まるで今日のスコール自身のようだった
「どうした?」
スコールは寝ないのか、という意味を込めて聞いてきたらしい
くもりのせいか、顔が暗くはっきりとは表情が見えなかった。
声のトーンは低いままだが、いつもの彼ではなかった
まだ不機嫌なんだよなぁ
ほんと、何をしたか覚えてないぞ?
バッツは、あー、うん、いや、そのさー、とかあやふやに言葉を発していた
「?」
「ごめんなさい!」
「?!」
久々に抱きしめた彼はとても冷たかった
そう言えば今日の夜は久々に寒かったな、と思いながらも
スコール自身の服装はさほど寒さを感じさせるものではなかったから、自分が冷たかったのかもしれない
「バッツ!なに、して…ッ」
「何って抱きしめてるんだ!」
「そんなの…わかってる」
「静かにしないとジタンが起きるぞ?」
「……」
おとなしくなったスコールを抱き締めなおして、少し高い視線にあわせた
じっと見つめるとすぐに下向きに目線は動いた。
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