すれ違い
Butz-side-


―あんな綺麗に笑うんだなぁ
バッツの視線の先には、ジタンとスコールがいた。
心地よい風が吹いているのに、心の中は吹雪のようだった

多分2人は他愛のない会話をしているだけだろう
バッツもそれは重々承知していた。


「・・・・・・何かやっぱりスコールってジタンが好きなんだなぁ」
はぁあああああ・・・・俺ってやっぱり好きな子は応援したくなっちゃうわけだし
あの笑顔が自分に向いたらな、とか
もっと俺を見てくれたらな、とか
思うことは子供っぽい嫉妬じみたことばかりだった。


想う人は、自分とは違い大人びいているから
こんなことを考えている自分には愛想をつかれそうで、それがまた何よりも怖い
スコールのことは大好き
愛してる
ふざけてなら言えても、真剣には伝えられない
それも好きなやつが違うやつとあんなに楽しそうにしているのを見てるとどうも・・・・な?


そよ、とあたたかい風が吹いて前髪を揺らした


そして俺は立ち上がった



Squall-side-


「あ、バッツだ」
「・・・・・・(やっと来たな)」

ずかずかと彼が戻って来た
風が好きな彼は、こうしてたまに一人で楽しんでいるのだ
俺とジタンの前に彼は座り込んで深呼吸してウインクした。

「いやーあまりにもお2人がお熱いから邪魔できなくってさー」
「あははっ!バッツ何言ってるんだよー!」
「・・・・・」

ジタンは腹を抱えて笑っていた
スコールはバッツの顔をしばらく見つめたまま凍りついたようだった


―今何て言った?
―冗談に聴こえない・・・
心臓の鼓動が妙に早まった気がする
俺は今、バッツの言葉に動揺しているのか
何に?

何に?

「あー笑った笑った。あ、のどかわいたから水飲んでくるわ」
「おう、あ、そっちよりあっちの方がうまかった!」
サンキュ、と手を振っていたジタンの姿は、すぐに見えなくなった
スコールとバッツは2人きりになった。
いつもスコールから話しかけることがないから、バッツが声をすぐにかける
しかし今、この瞬間沈黙が流れたのだ


「もーもうちょっとスコールも押していかなきゃダメだろー」
「・・・・何の話だ」
手袋の中の手がじとっと汗をかいているのに気づいた
バッツの瞳を見ることが出来ない

「スコールもジタンのことが好きならもっと押しけよー。あいつ意外に鈍いんだぜ?」
「・・・・・・!?」

―何を言っているんだ、こいつは
今何と言った?俺がジタンを?
いや、それよりも・・・

スコールの表情がどんどんかたくなっていった

汗が吹き出ているようだった

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